この本は読み易いよブログ。

本の感想です。読解力が人並みなので、読み易いものが好きです。忘れないようにするためのメモなのですが、興味がある本は参考にして下さい。たまに映画の感想も。カレーがあれは幸せです。

影法師

百田尚樹の「影法師」の感想。自分の思い出しす用なので、ネタバレも含みますのであしからず。

 

 

 

江戸時代のお侍さんの話ですね。幼少期から縁があって知り合いの勘一と彦四郎は、2人とも剣の腕がありお互い認め合う仲である。彦四郎が家柄も良く秀才なタイプで、勘一は家は貧しく親も失ったらしているが一つの事をとことん突き詰めるタイプ。HUNTER×HUNTERだとまさにキルアとゴンの様な感じ。

 

 

 

時代小説なので、所々詳しくないとわからない表現や言葉がありますが、読み易さが抜群の百田尚樹の良さで、わからなくても本筋は読めます。わからないことを飛ばして読むのが苦手な人は引っ掛かるかもしれませんが、気にしなければザックリ読んでも楽しめます。

 

 

 

 

特に最後の方はちゃんと楽しめますし、強いやつの表現が、漫画を読んでるかの様な書き方なので、強さの想像がしやすく、より剣の達人がかっこよく読めます。

 

 

 

 

 

影法師 (講談社文庫)

影法師 (講談社文庫)

 

 

 

 

 

彦四郎がみねを勘一の嫁になるように兄に話をつけたり、勘一の知らないところで何度も勘一を助けてたり。自分はどんどん落ちていくが、実は誰よりも武士道があり、誰よりも男だったと徐々にわかっていく書き方がとても上手です。百田尚樹の良さがキャラクターに見事にのっかってますね。

 

 

 

 

昔の方は悪いやつもいたら、この様なまっすぐな人もたくさんいたんでしょうね。

 

 

 

 

そう思える一冊。

 

 

 

 

あとこの本の最後に袋とじがあり、そこに4、5ページ程のその後の話が書かれていて、そちらもとても良いです。

 

 

 

 

みねは彦次郎の家の下女で、彦次郎のことがきっと好きだったが、勘一が一目惚れして、彦次郎に相談して、彦次郎は勘一とみねを結ばせる。みな側の気持ちも最後の袋とじでわかります。

 

 

 

 

袋とじを文庫につけるのって良い意味でも悪い意味でも斬新ですよね。笑

 

 

 

 

以上「影法師」のまとめでした。

この世界の片隅に

今更ながら「この世界の片隅に」のことを書こうと思います。ネタバレもありますのであしからず。そこまでのネタバレは今回は無いです。

 

 

 

 

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今や記録的な大ヒットとなっている「この世界の片隅に」なのですが、2016年の邦画大豊作の中で「君の名は」や「シンゴジラ」などの内容も動員数も記録的なヒット作を抑えて、間違いなく断トツで一番の仕上がりだったのではないかと思います。

 

 

 

 

映画といっても作風が違うので、完全に比べることができないので優劣をつけるのもナンセンスなのかと思いますが「この世界の片隅に」は数年に一度の大作なのではないでしょうか。

 

 

 

 

日本人として絶対に観ておくべき作品でありますし、戦争アニメ映画って言われて一番すぐに思い付くスタジオジブリの「火垂るの墓」を上回る作品なのではないでしょうか。

 

 

 

 

片渕須直監督もすごいのですが、この作品はとにかくまず原作のこうの史代さんが凄すぎる。

 

 

 

 

こうの史代さんは戦争映画を悲しみだけで表現せず、ただ日々を生きる姿を描くことによってより戦争の痛みを色濃く表現している。片渕須直監督はこのこうの史代さんの原作をすごくキレイにまとめてくれました。映画化は原作を超えれないことが普通なのに、ここまで原作を大切にしてくれたことに作品への愛が感じられますね。

 

 

 

 

声優ののんさんも素晴らしい。まとまってる記事見つけたので貼っておきます。

 

 

 

 

映画「この世界の片隅に」 こめられた思い|特集ダイジェスト|NHKニュース おはよう日本

 

 

 

 

とにかく次々と伝説を作ってる「この世界の片隅にクラウドファンドに始まり、上映館数の1ヶ月での増加、キネマ旬報トトロ以来のアニメでの一位、日本アカデミー大賞アニメーション部門一位と快進撃がすごい。

 

 

 

 

「君の名は」を破りましたが、当時は良い作品だけど内容的にアカデミー大賞にノミネートされないんじゃないかとも言われてました。

 

 

 

 

この時代にこの様な映画がここまでヒットすることはとても素晴らしいことです。映画館の上映で最後に拍手が起こることが多々あるようです。

 

 

 

 

人気作品になるともちろんアンチも増えてネットやツイッターなどにも「面白くない」などと書いてる人もいましたが、そんなアンチのことをこうツイートしてる人がいました。「この世界の片隅にを面白くないと言ってる人がちらほらいるけど、具体的に何が面白くないかほとんど書いてない人ばかりだった。何が面白くないかも書かないようなやつしか批判してない。」悲しいですよね。この作品は素直に観ましょう。

 

 

 

 

 

最後にこうの史代さんの他のオススメ作品を紹介して終わります。

 

 

 

 

 

 



 

夕凪の街 桜の国」は「この世界の片隅に」が良いと思えれば必ず読めます。映画化もされてるのですが、こちらも素晴らしい名作。

 

 

 

 

 

 

長い道 (アクションコミックス)

長い道 (アクションコミックス)

 

 

 

 

 

「長い道」は戦争とは関係ない男女のふんわりした恋愛漫画のようなものなのですが、こちらもオススメです。こうの史代さんの作品に共通する僕の感想が、とにかく主人公の女性が優しく明るいのにどこかしら悲しさが滲む、絵のタッチも含めなぜか明るさの中に悲しみを感じてしまうがそれが主人公の女性の味に繋がっています。これはこうの史代さんにしか書けないタッチだと思います。

 

 

 

 

以上「この世界の片隅に」のまとめでした。

麒麟の翼

東野圭吾の「麒麟の翼」の感想です。ネタバレも若干あると思いますのであしからず。

 

 

 

この作品は東野圭吾の「加賀恭一郎」のシリーズです。僕のこのシリーズの印象はどの作品から読んでも読めるし、逆を言ったらそこまでの加賀恭一郎の具体的な話も出てくる訳でもなく、ちょっと癖のない刑事もののシリーズは加賀恭一郎にしてるってイメージです。何作か昔読んだことがありますが、ほとんど覚えてません。でも読んだ当時は満足感はちゃんとあったと思います。

 

 

 

 

 

【東野圭吾】加賀恭一郎シリーズ発売順まとめ【小説】 - NAVER まとめ

 

 

 

 

↑加賀恭一郎の他の作品はこちらで調べて下さい。「新参者」がオススメです。この作品だけは書き方が少し変わってて、読み応えがありました。

 

 

 

 

 

麒麟の翼 (講談社文庫)

麒麟の翼 (講談社文庫)

 

 

 

 

 

この麒麟の翼も忘れないように内容をある程度書こうと思います。

 

 

 

 

この先からネタバレも含まれます。

 

 

 

 

今回の事件は工場で働いてた男性の青柳武明が道で刺されて殺される。事件はその後にすぐ近くで事故にあって死んでしまった元工場の派遣社員の男が疑われる。この派遣の男は、工場で怪我をしても労災が下されず、労災を下ろすと工場の不正が国にバレるため。泣き寝入りの形でクビになったために動機がある。

 

 

 

 

派遣の男も死んでしまったために、この男が犯人で警察は捜査を終わろうとしていた。

 

 

 

しかし加賀が事件の気になる点を徹底的に捜査することにより、新しい糸口が見え始める。

 

 

 

被害者の青柳の息子の悠人の中学時代の水泳部のころの話が、青柳武明が神社をなんども千羽鶴をもって拝みに行っているのとリンクし始めて、そこから事件は解決に向かっていく。

 

 

 

 

個人的には加賀恭一郎が悠人の学校の先生を最後に叱るシーンが印象深い。

 

 

 

 

加賀恭一郎シリーズは、本当にいい意味でも悪い意味でもチープなんです。東野圭吾らしい作品ともいえますが、絶対に70〜80点くらいを突いてくるんです。

 

 

 

 

だから安心してある程度の読み応えはあると思って読める、、けども100点の作品に出会えたって感動は絶対に得ることはできない。笑

 

 

 

 

でもそれが加賀恭一郎シリーズなのかなっと思います。夕方に再放送されてる2時間ドラマをボーッと観れちゃう感じなのかな。。

 

 

 

 

しかし東野圭吾はやはり素晴らしい作者だと思います。本好きが犬猿したりしますが、こんなオバケ小説家いないと思います。

 

 

 

 

また東野圭吾の良さをブログに書こうかなと思います。

 

 

 

 

以上「麒麟の翼」のまとめでした。

純平、考え直せ

奥田英朗の「純平、考え直せ」の感想です。自分の思い出すとき用のメモでもあるから、少々ネタバレ気味なので、まっさらの状態で読みたい方は読まないでください。一気読みし易いので、お先にお読み下さい。

 

 

 

 

 

 

純平、考え直せ (光文社文庫)

純平、考え直せ (光文社文庫)

 

 

 

 

 

歌舞伎町でヤクザの下っぱをしてる純平のお話。純平は早田組の下っぱで、兄貴分には北島という男がいる。

 

 

 

簡単にいうと、ある日純平は早田組の親分に「鉄砲玉になってくれないか?」と頼まれる。男をあげるために純平は引き受ける。鉄砲玉とはターゲットである他の組の親分を殺すこと。その後自首して、10年ほど刑務所に入る事までが鉄砲玉の仕事である。全ては組のために。

 

 

 

 

純平は引き受けてから、親分に鉄砲玉になる日までの間のお小遣いを貰い、娑婆にいれる間に普段食べれないものや、泊まったことのないホテルなど、贅沢に過ごす。そんな中で今まで北島の下っぱとして生きてきた中では知り合いなど全然できなかったが、この3日間の間に色んな出会いをする。

 

 

 

 

 

それともう1つこの話の特徴が、純平が途中で知り合う女性(加奈)が、純平の鉄砲玉の話を知り、2ちゃんねる的なサイトに純平が鉄砲玉になるのを止めるにはどうしたらいいか?的な質問をして、ネット住民たちがそれにたくさんコメントする。そのサイトは純平も観ることができて、話の中でちょこちょこそのサイトのコメントも出てくる。そのコメントが物語に左右するのかしないのかもリアルな気もする。

 

 

 

 

結論をいうと

 

 

 

 

純平は考え直さない。

 

 

 

 

ネットで感想みると賛否両論だった。

 

 

 

 

もっと面白い話になりそうな気もするが、これがリアルなのかなとも思う。奥田英朗節と云えば、それでおさまることかも。

 

 

 

でもタイトルのインパクトと読み応えから、どんな終わり方するのかは期待してしまう作品なだけに、どうしても味気なく感じてしまいました。才能があるが故のことなのでしょうか、、、

 

 

 

 

個人的に昔読んだ奥田英朗の作品で好きなのは「ララピポ」や「空中ブランコ」のシリーズです。特にララピポなど、1つの物語を複数の目線で観せていく群像劇という手法が好きなので、個人的に好みです。

 

 

 

 

久々に奥田英朗の本を読んだのですが、読み易さや、登場人物のキャラクターの良さは流石ですね。

 

 

 

 

以上「純平、考え直せ」のまとめでした。

 

 

あきない世傳 金と銀

高田郁の「あきない世傳 金と銀」の感想です。メモなので多少のネタバレありますが、ネタバレを読んでも楽しめるタイプの本だと思うので悪しからず。

 

 

 

 

 

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主人公の幸は、津門村(つとむら)の凌雲堂(りょううんどう)の娘である。凌雲堂は塾のような場所である。父の重辰(しげたつ)と兄の雅由(まさよし)の死をきっかけに大坂の五鈴屋(いすずや)に女衆として奉公に出される。

 

 

 

 

金と銀は、摂津の暴れ川の武庫川の夕日が綺麗な日の空が金色で川面が銀色に見えるのを雅由が幸に教えた色である。

 

 

 

 

あと1731年の享保の大飢饉が重なり、奉公に出されることになる。江戸の中期はこれ以降景気が悪くなり、物が売れない時代が続くとされている。バブルが弾けたあとの様なものと。

 

 

 

 

享保の大飢饉は、イナゴやウンカといった虫が大量発生して稲作を食い尽くしたと言われてます。

 

 

 

 

五鈴屋は2代目の女将である富久(ふく)と番頭の治兵衛(じへえ)と3代目が亡くなっており、4代目徳兵衛と次男の惣次(そうじ)と三男の智蔵(ともぞう)とそれと女衆のお竹とお梅が主な登場人物。紅屋多聞(べにやたもん)の菊栄(きくえ)が徳兵衛の嫁にくる。

 

 

 

 

治兵衛が頭のキレる番頭で、早い段階で幸の商いの才能に気づき始める。智蔵は読書家で商いに興味がなく、惣次は商いの才能があり、問題の徳兵衛が遊郭通いで五鈴屋のみんなを悩ませる。

 

 

 

 

高田郁の歴史小説はとにかく読みやすいです。歴史的な知識が無くてもなんとか読めるし、江戸時代の生きる厳しさを感じながらも、とても優しい気持ちを持つ主人公を描いてくれます。

 

 

 

 

他の作品も読んでみたいですし、この「あきない世傳 金と銀」ももう三作目まで出てるみたいなので、続きも読みたいも思います。

 

 

 

 

 

 

あきない世傳 金と銀 源流篇 (時代小説文庫)

あきない世傳 金と銀 源流篇 (時代小説文庫)

 

 



 

 

以上「あきない世傳 金と銀」のまとめでした。

夢を売る男

百田尚樹の「夢を売る男」の感想です。この作者の本の特徴はとにかく読みやすい。東野圭吾並みに若者や読書が苦手な人でも読みやすい文体だと思います。なのに題材がいつもとにかく攻めているので、読み応えもあります。

 

 

 

 

 

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「夢を売る男」は本の出版社のお話で、本の作者と出版社がお金を出し合って本を出版するジョイントプレスというサービスが軸となる。

 

 

 

その出版社の牛河原(うしがわら)がジョイントプレスの方法から、なぜこのジョイントプレスが今の時代に儲かるかといことや、本の出版業界のことを毒づいたりする。

 

 

 

特に牛河原が後輩と焼肉屋にいって、今の出版業界の文句を永遠と語る話が中盤にあるのですが、それはもう百田尚樹が言いたいことを牛河原というフィルター通して言ってるだけ。百田尚樹は自分の思想を本のキャラクターにのっけるのが露骨で面白い。

 

 

 

賞を取るのはその賞の出版した本が5割以上の確率であるとかそんなことである。

 

 

 

ジョイントプレスにひっかかる一般人が多いのも、今の時代は本が売れなくなってるのに、自分で何かを書きたい自己顕示欲の強い人が多くなってるから成立するとのことで、とても共感できる。

 

 

 

日本人の1日に本を読む時間が平均で13分ってのにも驚いた。その13分も漫画や雑誌も含まれるので、活字のみとしたら、5分も切るのではないかと言われてる。

 

 

 

最後の最後がちょっと牛河原の人間性が出てほっこりとする終わり方になってるのも良い。

 

 

 

空き時間を見つけて読むって感じでも3日で読めたので、一気読みでもおすすめです。

 

 

 

以上「夢を売る男」のまとめでした。

 

出世花

時代小説作家の高田郁のデビュー作「出世花」は、江戸時代のおくりびとが題材のお話です。主人公のお艶が青泉寺の三昧聖(さんまいひじり)となり、亡くなった人を湯灌場で洗い、火葬する。屍洗いと揶揄されたりもする仕事でもある。

 

三昧聖とはおくりびとのこと。

 

 

 

 

 

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出世花の由来はお艶が身分が変わることに名前を与えられるところからきてます。

 

この小説は時代小説だけど、読み易いので、知識が無くても大丈夫でした。

 

4つある話の中で「落合螢」の岩吉と「偽り時雨」のおみのが印象的でした。どちらも切ない人で、江戸の時代を生きる人はこういう人生の人もたくさんいたんだろうなと。

 

岩吉は片思いしてる人に濡れ衣をかけられ、本当のことを言ってしまうとその片思いの人に迷惑がかかると判断して庇う。

 

おみのは自分の隠していたことを最後にお艶に伝えて死んでいく。

 

三昧聖の仕事にいろいろなドラマが隠れててとても良かったです。

 

あと江戸時代は不義密通って言葉があり、不倫に対しての罪がとても重いのです。

 

それと舞台が下落合や新宿や四谷など都内で有名な箇所であるのでそこも読み易い要素の1つかもしれません。

 

以上「出世花」まとめでした。