夢を売る男
百田尚樹の「夢を売る男」の感想です。この作者の本の特徴はとにかく読みやすい。東野圭吾並みに若者や読書が苦手な人でも読みやすい文体だと思います。なのに題材がいつもとにかく攻めているので、読み応えもあります。
「夢を売る男」は本の出版社のお話で、本の作者と出版社がお金を出し合って本を出版するジョイントプレスというサービスが軸となる。
その出版社の牛河原(うしがわら)がジョイントプレスの方法から、なぜこのジョイントプレスが今の時代に儲かるかといことや、本の出版業界のことを毒づいたりする。
特に牛河原が後輩と焼肉屋にいって、今の出版業界の文句を永遠と語る話が中盤にあるのですが、それはもう百田尚樹が言いたいことを牛河原というフィルター通して言ってるだけ。百田尚樹は自分の思想を本のキャラクターにのっけるのが露骨で面白い。
賞を取るのはその賞の出版した本が5割以上の確率であるとかそんなことである。
ジョイントプレスにひっかかる一般人が多いのも、今の時代は本が売れなくなってるのに、自分で何かを書きたい自己顕示欲の強い人が多くなってるから成立するとのことで、とても共感できる。
日本人の1日に本を読む時間が平均で13分ってのにも驚いた。その13分も漫画や雑誌も含まれるので、活字のみとしたら、5分も切るのではないかと言われてる。
最後の最後がちょっと牛河原の人間性が出てほっこりとする終わり方になってるのも良い。
空き時間を見つけて読むって感じでも3日で読めたので、一気読みでもおすすめです。
以上「夢を売る男」のまとめでした。